JASDAQ(ジャスダック)とは【株式市場の歴史】
注:当コラムは過去に東証が運営していたJASDAQ市場について紹介したコラムです。

JASDAQとは、過去に東京証券取引所が運営する中小型株を中心とした株式市場です。600社以上の企業が上場しています。一定の事業規模と実績を有する企業を対象とするスタンダード、将来の成長可能性に富んだ企業を対象とするグロースの2つの区分がありました。
JASDAQについて、初心者の方にも簡単にわかりやすく解説します。
JASDAQ
ジャスダック市場とは、2022年4月1日まで東証が運営していた日本の株式市場です。
JASDAQは店頭登録制度が発展した市場であり、歴史が長くかつ複雑な経緯を経て誕生した市場ということもあり、新興企業から老舗企業まで幅広いタイプの企業が上場していました。
ジャスダック市場には686銘柄が上場していました(2022年4月1日時点)。
なお、2013年末には876社が上場しており、2022年4月4日の市場区分見直しまでの間JASDAQ上場企業数は減少傾向でした。
減少の理由は、多くのジャスダック上場企業が市場変更しているためです。
JASDAQスタンダードとグロース 企業数と上場基準の比較
前述のとおり、JASDAQは新興企業と老舗企業が並存していました。
そこで、各上場企業をJASDAQスタンダードとJASDAQグロースのいずれかに分けていました。
それぞれ上場基準の要件や審査の内容が異なります。
1)JASDAQスタンダードとは
老舗企業が中心の市場でした。
JASDAQスタンダードの上場企業数は651社 (2022年3月末時点)でした。
JASDAQスタンダード市場への新規上場には一定の規模や利益水準が必要でした。
最近1年間の利益の額が1億円以上であることが要件にあり、満たさない場合は時価総額が50億円以上。純資産も2億円以上が必要でした。
2)JASDAQグロースとは
新興企業が中心の市場でした。
JASDAQグロースの上場企業数は35社(2022年3月末時点)でした。
赤字企業であっても、成長可能性があれば上場することができ、利益要件はなく、純資産もプラスであれば上場できました。
ただし、上場審査で成長可能性を有していることが審査されていました。
新規上場数と上場企業数は下表の通りです。
新規上場はJASDAQスタンダードのみとなっています。JASDAQグロースに上場していたようなベンチャー企業は、近年はマザーズを選択しているためと考えられます。
なお、東証一部や二部などへの市場変更を行う銘柄が多いため、ジャスダックの上場企業数は減少傾向にあります。
2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | ||||
新規上場 | スタンダード | 12 | 11 | 11 | 14 | 18 | 14 | 6 | 14 | 16 | ||
グロース | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||
計 | 12 | 11 | 11 | 14 | 18 | 14 | 6 | 14 | 16 | |||
上場企業数 | スタンダード | 828 | 798 | 747 | 713 | 707 | 688 | 668 | 663 | 654 | ||
グロース | 48 | 45 | 44 | 43 | 41 | 37 | 37 | 37 | 36 | |||
計 | 876 | 843 | 791 | 756 | 748 | 725 | 705 | 700 | 690 | |||
期間:2012年8月31日~2022年3月17日 出所:東京証券取引所 |
3つのJASDAQ指数
JASDAQには関連する指数はいくつかあります。その中で代表的なものを3つ取り上げます。
1)日経ジャスダック平均株価
日経新聞の「ジャスダック続伸」「ジャスダック反落」といった文言は、日経ジャスダック平均株価を指しています。
日経ジャスダック平均株価は、ジャスダック市場の全銘柄を対象とし、日経平均株価と同じ「ダウ式」で算出されていました。
なお、東証の市場区分の見直しに伴い、日経ジャスダック平均株価は2022年4月1日をもって算出終了になりました。
2)JASDAQ INDEX
JASDAQ INDEXは東証が算出していたジャスダックの指数です。
ジャスダック市場の全銘柄を対象とし、時価総額加重方式で算出されていました。時価総額加重方式はTOPIXと同じ計算方式でした。
東証の市場区分の見直しに伴い、JASDAQ INDEXは2022年4月1日をもって算出終了になりました。
3)JASDAQ-TOP20
JASDAQ-TOP20とは、2010年10月12日から2022年4月1日までジャスダック市場上場企業から東証が20社を選定し、算出していた株価指数です。
ジャスダック市場は流動性がほとんどない銘柄も多く上場しており、ジャスダック市場の銘柄全てに投資するETFを作ることは困難でした。
そこで、ジャスダック市場の中でも流動性や時価総額が比較的大きい企業を選出したものがJASDAQ-TOP20です。
JASDAQ-TOP20は、東証市場区分変更に伴い、2022年4月4日から移行用指数となりました。
この理由から、構成銘柄は非定期の追加及び除外を除き、2022年4月1日時点の構成銘柄を維持、2023年3月31日まで算出されます。
当社はJASDAQ-TOP20に連動するETFを運用していました。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
JASDAQ-TOP20 ETFの歴史
指数の比較
それぞれの指数を過去10年弱の期間で比較すると下図の通りです。
JASDAQ-TOP20は日経ジャスダック平均やJASDAQ INDEXを大きく上回っています。
2013年にJASDAQ-TOP20に含まれていたガンホーが大きく上昇し、JASDAQ-TOP20も大きく上昇しました。
なお、ガンホーが抜けた2016年10月以降も、JASDAQ-TOP20は日経ジャスダック平均とJASDAQ INDEXを上回って推移しています。
指数 | 5年リターン(~2017/8末) |
日経ジャスダック平均株価 | +176.31% |
JASDAQ INDEX | +225.58% |
JASDAQ-TOP20 | +314.86% |

注:2012年8月31日を100としてそれぞれ指数化。
期間:2012年8月31日~2022年3月17日 出所:東京証券取引所、日本経済新聞社
主な銘柄
下表はJASDAQの時価総額上位25銘柄です(2022年3月17日時点)。
日本マクドナルド、セリア、ワークマンなど時価総額数千億円の大企業もJASDAQに上場しています。
なお、上位25銘柄のうちJASDAQグロースの会社は1社もありません。
このとおり、JASDAQにおいてはJASDAQスタンダードの銘柄が企業数、時価総額ともに圧倒的に大きくなっていました。そのため、JASDAQは新興企業の市場というよりは、中小型株の市場といった意味合いが大きくなっていました。

関連する当社が運用するETF
当社では新興企業に関連するETFを運用しています。
1551 | 東証スタンダードTOP20 ETF |
1563 | 東証グロース・コアETF |
2516 | 東証グロース250ETF |
東証グロース市場250指数や東証グロース市場Core指数について詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
東証マザーズ指数
東証マザーズ指数先物
マザーズ・コアETFの歴史
東証グロース250ETF
ETFの取引方法や活用方法についてはこちらのコラムをご覧ください。
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